コイルをパルス駆動する代表的な例はスイッチングレギュレータでしょう。スイッチングレギュレータはコイルにパルス状の直流電圧を印加して入力電圧よりも低い電圧や、高い電圧を作り出しています。
コイルにパルス電圧を印加したときはどうなるのでしょうか?。すこし詳しく見てみましょう。
コイルはコイルに印加されている電圧をとりさっても電流を流そうとします。このときコイルの両端に電圧が発生します。この電圧は印加された電圧と逆極性になります。これを逆起電力と呼んでいます。
逆起電力は印加された電力と同じ電力をもっています。
逆起電力で発生する電圧は図3のような回路では
V=iR となります。このことから判るようにRがない場合、すなわちRの値が無限大の時には無限大の逆起電圧が発生することになります。
現実には無限大の抵抗はありえませんが、いずれにしてもスイッチが開放状態になった瞬間、逆起電力によって高い電圧が発生することになります。
逆起電力の電力はスイッチが開放状態になるまでコイルに蓄えられた電力と同じ電力と等しい電力をもっています。
ですからRの値が大きいと短い時間で逆起電力は消滅しますが逆起電圧は高い電圧になります。逆にRの値が小さいと逆起電圧は低くなりますが長い時間電流が流れます。
つまり逆起電力はRで消費し終わるまで流れ続けます。
図5は実際の回路でリレーをトランジスタで駆動する場合の例です。ダイオードDが接続されていないとトランジスタがOFFした瞬間、
トランジスタのエミッタとコレクタ間に高い逆起電圧が発生することになり、トランジスタの耐圧を超えた場合トランジスタを破壊してしまうことになります。
ダイオードをコイルと並列に接続することで、逆起電圧を図6のように低く抑えトランジスタを保護しています。
直流のリレーを動作させる場合は図5のようにコイルにダイオードを並列に接続して使うのが一般的です。
このような目的で使うダイオードをダンパーダイオードと呼ぶ場合もあります。