静電気と動電気

電気には静電気と動電気の2種類あることは電気、電子技術者の方なら当然のごとく知っていると思います。

静電気は一定の場所にとどまって流れない電気、動電気は物質の内部又は表面を移動する電気、一般的にいう「電気」はこちらのほうを言います。   電気的に少し詳しくいうと、電荷の移動がない電気が静電気、電荷の移動があるのが動電気ということになります。電荷の流れを電流といいます。 また、電子に代表される「-電荷」の流れの方向は電流とは逆になります。

さてこの静電気と動電気どちらが先に発見されたのでしょうか?。
静電気は紀元前500~600年頃、ギリシャ人の自然哲学者ターレスによって発見された と言われています。ターレスは当時、指輪やペンダントに愛用されていた「琥珀」(樹脂が化石化した石)をより光らせようとして磨いていると、周囲の埃 を吸い寄せてかえって汚れてしまうことを発見しました。このときターレスはこの現象は磁力によるものだと考えていたようです。現在では摩擦によって 静電気が発生することはよく知られていることです。

英語単語の「電気」を表す electricity はギリシャ語の「琥珀」を表す electron から派生した言葉です。

流れる電気、動電気は電池の発明と密接な関わりがあります。
イタリアのボロニア大学の解剖学教授のガルバーニは自分の専門分野に電気を利用する ことを考え、カエルの足に起電機を繋いで電気を起こすと、カエルの足が動くことを発見しました。電気によってカエルの筋肉が収縮する現象です。彼はさらに 実験を続けているうちに、鉄棒にぶら下げたカエルの足に真鍮の針金が触れた時カエルの足がピクリと動くことを発見します。彼はこの現象はカエルの足に何らか のエネルギーが残っており、それが鉄と真鍮によって取り出されたと考えました。ガルバーニはこのエネルギーに「動物電気」と命名し、 1791年に発表しました。

イタリアのパピア大学の教授ボルタは直ちにガルバーニの「動物電気」の追試します。ボルタはカエルの足には電気がないことを証明する ためにカエルの足の代役をさがします。ボルタは2種の金属の間の水溶液が関係して電気が発生するのではないかと考え、いろいろな金属、水溶液で 実験を繰り返します。その結果、塩水を浸み込ませた紙を銀の板と亜鉛の板で挟むと電気が発生することを発見し、「動物電気」なるものは存在せず。異なる2種の金属にはさまれた カエルの筋肉とによって電池が形成され、電流が流れ筋肉が収縮が起こることを証明したのです。さらにガルバーニは実験をかさね銅と亜鉛の板でも電気が発生することも発見します。 またこれを何層にも重ねると高い電気を取り出せることも実証したのです。これが有名な Volta cell[ボルタの電堆」です。

Volta cellは1800年に発表され、これ以後、人類は長時間連続して流れる電気(動電気)を手に入れることが出来、電気に関する研究は飛躍的に伸びる ことになるのです。