コンデンサ等価回路
コンデンサの性能を決める要素には
絶縁抵抗(Insulation Resistance,IR)、等価直列抵抗(Equivalent Series Resistance,ESR)、等価直列インダクタンス(Equivalent Sries Inductance,ESL),
誘導損失と誘導正接(tanδ)、その他に温度特性、耐圧などがあります。
これらの要素をよく理解しておくことがコンデンサを選択するうえで大事なことです。
絶縁抵抗 IR
理想的なコンデンサでは絶縁抵抗は無限大ですが、実際のコンデンサでは電極間の誘電体は完全な絶縁体ではないので微小な電流が流れます。このときの抵抗をを絶縁抵抗といいます。
実際のデータシートではIRではなく漏れ電流で記載されている場合もあります。
サンプルホールドや積分回路では重要な要素になります。通常はMΩ~TΩのオーダーになります。
等価直列抵抗 ESR
電極やリード線の抵抗、誘電体の特性等によってわずかな抵抗成分が存在します。このESRはコンデンサの発熱の原因になります。通常は数十mΩ~数Ωになります。特に高周波を整流するスイッチングレギュレータやデジタルアンプの出力フィルタなどに使用するコンデンサはESR
の低いものを選択します。
等価直列インダクタンス ESL
電極版、リード線などのインダクタンス成分です。特に高周波で使用するときに問題になります。チップタイプのコンデサではリード線がありませんからESLは低い値
になります。通常、数百p~数nH

誘導正接 tanδ
コンデンサの性能を表す要素でもっとも重要な要素です。理想的なコンデサに交流電圧を印加したときは電流の位相は90度進みますからコンデンサ内での電力はゼロで
損失がありません。
しかし実際のコンデンサでは誘電体に加えた電界が時間的に変化した場合、誘電体の抵抗成分(コンデンサのインピーダンスと呼びます)によって電束密度変化が遅れます。これによって電流の位相は
δ だけ遅れます。従って電圧と電流の位相差が90度でなくなるわけですからコンデンサ内での電力損失が発生します。
この損失を誘電損失といい δ を損失角といいます。そして損失角δの正接を誘導正接 tanδと言います。実際にはESRによる損失、インダクタンス損など損失を全て
含めてtanδで表します。この値が小さいほど優良なコンデサといえます。
温度特性
コンデンサの誘電体は温度によって誘電率が変化します。また温度によって伸縮し電極間の距離が変わり静電容量がかわります。
耐圧
コンデンサの誘電体の耐圧はデータシートには記載されていません。定格電圧以下で使用するようにします。整流回路では印加される交流電圧のピーク値が定格電圧
を超えないようにします。