コンデンサの特徴は誘電体、構造により違いがあります。コンデンサは抵抗器とならんで電子回路でもっとも多く使われる電子部のひとつです。特に
アナログ回路においてはコンデンサの選び方で回路の特性が大きくかわります。各々のコンデンサの特徴ををよく知っておくことが回路設計の「うで」の見せ所です。
文中の tanδ に関する解説は誘導損失と誘導正接 tanδを参考にしてください。
強誘電体系セラミックコンデンサの特徴
主に電源のでカップリング、いわゆるパスコンとして多用されます。積層型が多い。一般にパスコンとして使用される場合は0.1μ~0.1μが多い。
大きな特徴は静電容量の誤差範囲が大きく、精密な回路には使えません。
- 静電容量の誤差範囲が大きい
- 温度特性が悪い
- 温度に対して静電容量が直線的に変化しない
- 直流バイアスで静電容量が大きく変化(低下)する
- 誘電正接tanδが大きく、高損失
- 経時劣化により静電容量が低下する
ポリエチレン・テレフタレート・コンデンサの特徴
ポリエステル・フィルムコンデサの代表格。デュポン社の商標から通称から「マイラ・コンデンサ」とも呼ばれます。主にオーディオ回路やアナログ回路の低周波領域
で多く使われます。
- 低価格
- 小型で大容量まで入手が可能
- 誘電正接tanδが温度や周波数によって増大する。特に40℃以上では大きく増大する。
- 高周波特性は悪い
ポリフェニレン・サルフィド・コンデンサの特徴
周波数や温度変化による誘導損失が少なくポリプロピレンに次ぐ優良なコンデサです。
- 誘導正接が小さい tanδ≦0.003
- 温度係数が小さい -100ppm/℃
- 使用温度範囲が広い -55℃~+125℃
- 高周波特性も比較的よい
ポリプロピレン・コンデンサの特徴
周波数や温度による誘電損失の増加が少なく、サンプルホールド、積分回路などの高精度なアナログ回路に使われます。フィルムコンデサのなかでは現在の
ところ最良なコンデンサです。
- 誘導正接が非常に小さい tanδ≦0.001
- もれ電流が少ない 絶縁抵抗特性は数十TΩ
- 高周波大電流でも自己発熱が少ない
- やや高価
ポリスチレン・コンデンサの特徴
通称「スチコン」と呼ばれるコンデサで諸特性はよくむかしはよく使われていましたが、現在はほとんど見かけることがありません。
- 誘導正接が小さい tanδ≦0.001
- 静電容量の経時変化が少なくほぼ一定
- 温度特性が-150ppm/℃と一定
- 高温に弱く半田ごての熱などで溶解する
シルバードマイカ・コンデンサの特徴
このコンデサはスチコンより諸特性がよく特に経時特性はコンデサのなかでは最良のコンデンサです。しかし材料が自然界から採集する雲母であることから価格が
下がらず現在は特殊な回路を除いてほとんど使われません。
アルミ電解・コンデンサの特徴
通称「ケミコン」と呼ばれます。さまざまの耐圧、容量のものが入手できます。一般的なものは有極性ですが無極性のものもあります。
- 一般的に有極性
- 逆電圧を印加したり、耐圧を越えて使用すると破裂する
- 寿命がある(コンデンサの寿命参照
- リーク電流が大きい
- 誘導正接が大きい tanδ≦0.4
固体タンタル電解・コンデンサの特徴
容易量対体積がアルミ電解コンデサに比べて非常に小さく。気軽に使いたくなるコンデンサですが、故障モードが短絡モード等アルミ電解コンデサとは
違う特徴をもっています。使用の際はこれらの特徴をよく理解して使うようにします。
- 有極性のみ
- 容量当りの体積がアルミ電解に比較して小さい
- 誘導正接がアルミ電解より小さい tanδ≦0.1
- 故障モードが短絡モード
- 使用電圧に対する故障率の依存性が大きい(定格電圧の半分以下で使うほうがよい)