ダイオードとは最も基本的な構造をした半導体素子です。
ダイオードを理解するにはP型半導体、N型半導体について理解する必要があります。ダイオードとはこの2つの半導体を接合したものなのです。この接合部を「PN接合」と呼ぶことから「PN接合ダイオード」と呼ばれます。一般的にダイオードとはPN接合ダイオードのことをいいます。
図1と図2ダイオードを模式的に表した図です。P型半導体側をアノード(記号A)、N型半導体側をカソード(記号K)と呼びます。ダイオードは電圧の印加の方向によって、順方向バイアス、逆方向バイアスの二つの使い方があります。(図1と図2の電源の向きに注意)
ダイオードの記号
ダイオードの回路図上で記号は下記の記号を使います

順方向バイアスの動作
今、ダイオードに図3のように電圧を加えると正孔(正の電荷を運ぶ)はP型領域からN型領域へ移動し(図3の左から右へ)、一方電子はN型領域からP型領域へ移動(図3の右から左)します。
この結果PN接合部において電子と正孔は結合して電荷は消滅します。正の電極(P型領域)からは継続的に正孔が供給され、同じように負の電極(N型領域)からは電子が補給されますので電流は流れつ続けます。
逆方向バイアスの動作
順方向バイアスと逆に図4のように電圧を印加した場合、正孔は正電極側へ(図4の右から左)、電子は負電極側へ移動し、PN接合部では正孔と電子のやりとりは発生しません。その結果電流はほとんど流れません。
ダイオードの特性
一般のダイオードの印加電圧Vと流れる電流の関係を示した「V-I特性」について説明します。これはダイオード全般にも共通する特性です。

順方向特性
ダイオードに順方向バイアスを印加したときの特性です。
ダイオードに順方向に電圧を印加したときは0.6V以上の電圧が印加されたとき急激に電流がながれます。0.6V以下ではほとんど流れません。
この流れ始める電圧を「順方向電圧」といいデータシート
ではVFの記号で示されています。このVFはダイオードによって違い凡そ0.5~1.5V程度です。VFは
温度によっても変化し、また流す電流によっても変化します。VFが問題になるような回路ではデータシートなどで特性を確認するようにしましょう。
逆方向特性
ダイオードに逆方向バイアスを印加したときの特性です。
ダイオードに逆方向に電圧を印加したときは、電流はほとんど流れません。一般のダイオードの逆方向電流は数nA~数μA程度です。逆方向の電圧をさらに上げていくと
ある電圧で急激に電流がながれ、これ以上の電圧を印加するとダイオードは破壊してしまいます。この電圧を降伏電圧と呼び、データーシートではVRの記号で示されています。
この特性を積極的に応用した定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)と言うのもあります。