定電流ダイオード(CRD)はダイオードという名称がついてますが一般のPN接合ダイオードとは構造が全く違います。これはJFET(電界効果トランジスタ)の
「ゲート電圧が一定であればドレイン電流は一定」という特性を利用したものです。広い電圧範囲で一定の電流を得ることが出来ます。
定電流ダイオード(CRD)は順方向でつかいますが逆方向では一般のダイオードのように電流を完全に遮断する能力はありません。内臓された抵抗によって逆方向電流が制限される
だけです。
定電流ダイオード(CRD)のメーカーは日本ではSEMITEC(前、石塚電子)のものが多く使われています。定電流ダイオード(CRD)はもともとLEDのドライブ用として開発されたもので
定電流特性はそれほどシビアではなくある範囲を持っています。しかしLEDをドライブするには充分な能力を持っています。また三角波の発生回路にも応用できます。
左図は定電流ダイオード(CRD)の内部回路です。
JFETに抵抗を付加しただけの簡単な回路になっています。
実際にJFETと抵抗を左図のように接続すると定電流ダイオードを使わず
に定電流回路が実現できます。定電流ダイオード(CRD)はこれらの部品をIC化しただけです。
定電流ダイオード(CRD)の特性はJFETの特性そのものです。
定電流ダイオード(CRD)のなかには抵抗に直列に一般のダイオードを接続し、逆方向電流を制限しているものもあるようですが一般的な定電流ダイオード(CRD)は左図のように
逆方向導通型がほとんどです。
定電流ダイオード(CRD)の使い方
定電流ダイオード(CRD)をLED点灯回路に応用する場合を例にとって、定電流ダイオード(CRT)の使い方を説明します。
LEDはスタンレーのPR5304Sを使います。
PR5304Sの主な仕様
- 許容損失 75mW
- 順電流 30mA
- 順電圧 2.1~2.5V
- LEDの順電圧Vの合計値を求めます。順電圧はデータシートに記載されている最大値を採用します。
2.5V+2.5V=5Vになります。
- LEDに流す電流から定電流ダイオードを選択します。
応用例では10mA流すと仮定してE-103を選択します。
- 定電流ダイオードに印加する電圧の最大値を計算しておきます。
定電流ダイオードの定格電力÷ピンチオフ電流の最大値=300mW÷12mA=25V デレーティングして 15Vとします。
この電圧は電源電圧ではなく定電流ダイオードの端子間に加わる電圧の最大値です。
- 次に定電流ダイオードが定電流状態を保持できる最小電圧を、定電流ダイオードのデータシートから求めます。
データシートの肩特性にある [Vk] は定電流の80%の時の定電流ダイオードの端子間の電圧です。ですから定電流ダイオードには
これ以上の電圧が印加されていなければなりません。経験的に Vk の凡そ1.5倍程度を最小電圧とします。
- 電源電圧を決めます。電源電圧は次のようにして決めます。
LEDの順電圧の合計+(定電流ダイオードの端子間電圧の最小値~最大値)
LEDの順電圧の合計=(1 で求めた値)
定電流ダイオードの端子間電圧の最小値=(3 で求めた値)
定電流ダイオードの端子間電圧の最大値=(2 で求めた値)
5V+(5V~15V)=10V~20V となります。
*参考
LEDを抵抗で電流制限する場合はこちら--->LEDの電流制限抵抗の決め方