定電圧ダイオードは電源回路や、過電圧の抑止、電圧クランプ等に多く使われます。ここでは定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)の基本的な使いかたを紹介します。
安定化電源としての使い方
10~14V間で変動する入力電圧から5Vの安定した出力電圧をえる回路です。一般にこのような回路シャントレギュレータと呼ばれることもあります。回路はいたって簡単ですが、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)の回路としては基本中の基本です。
回路の設計例
1:出力電流とIzからR1の抵抗値を決めます。出力電流が増えても定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)にはツェナー電流Iz
を流しておかないといけません。そうしないと定電圧にはなりません。Izはデーターシートでは5mA~20mAが多いです。
2:定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)の最大電力損失を求めます。出力電流が減少するとその分、定電圧ダイオードに Izとして流してやらなければなりません。ですから定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)の最大電力損失は入力電圧が最大で、出力電流が0のときになります。
最大電力損失から定電圧ダイオードの許容電力を求め、定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)を選択します。
***係数0.6は最大電力損失が定電圧ダイオードの許容電力の60%以内に収まるようにした場合の係数で、0.7でも0.8でもかまいません。但し、
定格電力をめいっぱい使うような設計はお勧めできません*****
それからR1の損失も計算しておきます。
R1に流れる最大電流は最大電力損失の項でもわかるようにI(max)=(Vin(max) - Vz)/R1になりますから抵抗R1の最大電力損失は
これもデレーティングして実際には1Wのものを使います。
定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)はツェナー電流Izの変動でツェナー電圧が変動します。ですからこの安定化電源は負荷の電流変動がすくないものにしか
応用できません。回路のなかで部分的に回路全体の電圧を下げたいときとか、基準電圧を作りたい、などのときは手軽に応用できます。