オペアンプの基礎

オペアンプの原理図

オペアンプはIC(集積回路)です。原理図では電源ピンは書いてありませんが電源が必要です。オペアンプはリニア(線形回路)の基本です。
基本原理は2つの入力の差をK倍して出力します。

オペアンプ原理公式
オペアンプの原理式


オペアンプの使い方

K はオペアンプの増幅率でオープンループゲイン又は開ループ利得と呼ばれデータシートでは一般的に電圧利得、海外メーカーではLarge-differential voltage amplification または Gainと表現されます。
オペアンプのオープンループゲインは非常に高く105倍(100db)等になります(オペアンプによって違います)。
ですからこのままの状態ではゲインが高すぎて実用になりませんからオペアンプは一般的に図1のように負帰還をかけて使います。

そしてオペアンプを負帰還かけて使用した場合はオペアンプの(+)入力と(-)入力は電位差が0Vになります。つまりオペアンプは(+)入力と(-)入力の差が 0Vになるように動作するのです。(この状態をイマジナリショートと呼びます)。このことはオペアンプの基本的原理の一つであり オペアンプが壊れているかどうかの判断のも役立ちます。

オペアンプの基礎知識

オペアンプ構成図

図2

オペアンプの基礎を勉強するとき、よく「理想オペアンプはゲインが無限大です」とか「理想オペアンプの入力インピーダンスは無限大です」等の話を聞きます。

永久機関が存在しないと同じく理想オペアンプは現実には存在しません。 現実のオペアンプの特性要素はすべて有限です。「理想オペアンプ」と現実のオペアンプと混同されている方がおられるように見受けられます。

左図はオペアンプの構成図です。入力部は差動増幅回路になっています。 図ではバイポーラトランジスタで構成されていますがMOSトランジスタやFETで構成されているものもありますます。

オペアンプの基礎はこの差動増幅回路を理解することに他なりません。オペアンプの基礎を徹底して理解するにはトランジスタの知識も欠かせません。 ここでは差動増幅回路についての説明は割愛します。

差動増幅回路を充分知らなくてもオペアンプ回路は設計できます。

それではオペアンプを取り扱ううえで知っておかなければならない基礎事項について幾つか簡単に説明します。これらの基礎事項はオペアンプのデーターシートに記載されている 絶対最大定格と特性要素です。これらの特性要素がどんな意味をもつのか理解することがオペアンプの基礎を理解するうえで重要なことと思います。

オペアンプの絶対最大定格

--電源電圧--

オペアンプの正電源端子と負電源端子間に印加できる許容電圧です。両電源動作のオペアンプでは±で表現されます。単電源のオペアンプでは単に電圧で表現されます。 例えば両電源の場合は±16V、単電源の場合は5V等のように記載されています。

オペアンプの電源電圧の規定は正電源端子と負電源端子間の電圧と規定されています。ですから電源電圧±16Vと規定されているオペアンプは正電源端子に+16V、 負電源端子に-16Vを同時に印加してもよいことになります。このときの正電源端子と負電源端子間の電圧は32Vになります。つまり負電源端子をグランドに接続し、 正電源端子を+32Vに接続しても問題がないということです。単電源で動作するオペアンプも同様なことがいえます。5Vで動作するオペアンプなら正電源端子に+2.5V、負電源端子 に-2.5Vを印加してもよいと言うことになります。

--差動入力電圧-->

反転入力端子と非反転入力端子間に印加できる最大入力電圧です。±で表現されますが、これはどちらの端子を基準にするかによって極性が反対になる為です。

--同相入力電圧-->

反転入力端子と非反転入力端子に(端子間ではありません)同時に印加できる許容限界電圧です。一般には電源電圧までが限界値です。

*一般に電子部品を最大定格で使う場合はありません。オペアンプの場合も電源電圧±16Vなら±15V以下で使うなどです。また 電源電圧の項では変則的な電源の使い方にもふれましたが、オペアンプをこれから勉強しようとする方は両電源のオペアンプで実験されることをおすすめします。そのほうが オペアンプを理解しやすいです。

オペアンプの特性を表す事項

--オフセット--

本来、オペアンプに入力信号がないときは出力に電圧は現れないはずですが実際のオペアンプは無信号時に多少の電圧が現れます。
この電圧をオフセットまたは出力オフセットと言います。オフセットは入力換算で表記されデータシートには「入力オフセット電圧」、「入力オフセット電流」の2つの項目 で表記されます。

オフセットの詳細はこちら--→オペアンプのオフセット

--バイアス電流--

オペアンプの入力部は図2の様にトランジスタのベース又はFET、MOSのゲートになっています。ですからわずかですが電流を流し込むか引き込んでやらなければ動作しません。 この電流をバイアス電流と呼びます。すなわちオペアンプの入力端子に流入または流出する電流をいいます。

一般的にはオペアンプ回路では図1の様に直流帰還ループを形成します。このときバイアス電流は帰還抵抗に流れ出力オフセット生じさせます。

--電圧利得(ゲイン)--

データシートでは差動利得と表現される場合もあります。
オペアンプの電圧利得は周波数特性をもっています。その減衰カーブは-20db/decです。
これはオペアンプで交流を扱うときの基礎的事項です。

電圧利得(ゲイン)の詳細はこちら--→オペアンプの電圧利得

--スルーレート(SR)--

オペアンプの出力は入力電圧の変化に忠実に応答しないで遅れて変化します。出力の時間当たりの電圧変化率をスルーレートといいます。
スルーレートは交流波形の入力と出力の相似性に影響を与えます。

スルーレートの詳細はこちら--→オペアンプのスルーレート

--入力抵抗--

オペアンプ自身の入力インピーダンスです。図1の様なオペアンプ回路の入力インピーダンスではありません。

オペアンプの入力インピーダンスは非常に高くMΩオーダーのオペアンプからTΩオーダーのものまでいろいろあります。一般的なオペアンプの回路では オペアンプ自体の入力インピーダンスが問題になることはありませんが微小電圧、微小電流を扱う回路では検討しなければならない項目です。

--最大出力電圧--

オペアンプが飽和せずに出力できる電圧です。必要とする出力電圧がこの最大出力電圧以下でなければなりません。

*---参考ページ---*

これらの特性を比較してオペアンプを選択する手順例を紹介しています。→オペアンプの選択

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