微分回路

オペアンプ微分回路原理図

オペアンプ微分回路積分回路とは逆に反転増幅回路の入力抵抗をコンデンサに置き換えた回路です。

入力と出力の関係は次の式で表されます。

オペアンプ微分回路公式 ----式1

式1を具体的に説明すると、微分係数は単位時間当たりの変化率です。仮にこの変化率を2V/ms (1msの時間に2Vの変化)、CS=0.005μF、Rf=100KΩとすると微分回路の出力は VOUT=-100K×0.005μ×(2/1・10-3)=-2V となります。

詳細は次の「微分回路で三角波を方形はに変換」の項で説明してます。

微分回路は積分回路の逆の動作をします。微分回路も積分回路同様にいろいろな応用があります。

微分回路で三角波を方形波に変換

三角波

図2

微分回路の出力

図3

図1の微分回路に図2のような三角波を入力すると図3のような方形波が出力されます。三角波の傾斜部分の電圧は一定の変化率で上昇、下降していますから出力電圧は一定ですが三角波の頂点に達すると 異常な振動が生じています。

これはオペアンプの微分回路の周波数特性そのものなのです。図1の回路をもう一度見てください。入力コンデンサ Cs のインピーダンス は周波数が高くなるほど低くなります。またオペアンプの反転増幅器のゲインは Rf ⁄ Rs です。Rs が低くなれば 当然ゲインは大きくなります。

微分回路の入力コンデンサ Cs は反転増幅器の Rs と等価に動作しますから三角波の頂点(高周波部分) では急速にゲインが上がりオペアンプの出力は急速に反転し、電圧レベルはオペアンプの電源電圧を超えるまでになります (実際にはオペアンプの電源電圧でクランプされます)。

またオペアンプは高周波で高い利得を持つと発振するという特性があります。微分回路の出力方形波の立上り、立下りで発生している振動波は 微分波形がトリガーとなってオペアンプが発振している振動波なのです。

オペアンプ微分回路の実用回路

図4
微分回路の実用回路


オペアンプ実用微分回路の出力

図5
実用回路の出力

それではこの振動波を抑えるにはどうしたらいいでしょう。微分回路の実用回路は図4のようになります。この回路は高周波領域で回路のゲインが 上がらないように入力のコンデンサに直列に抵抗が挿入されています。こうすることによって回路のゲインは Rf ⁄ Rs  以上には上がりません。

さて「高周波領域で・・・」と述べましたがその境目の周波数はいくらなのでしょう?。それは Cf と Cf に直列に挿入した抵抗 Rs によって 決まります。図4のVinの周波数と入出力の関係は次のようになります。

カットオフ周波数 のとき 微分の式

カットオフ周波数2 のとき微分の式2

となります。遮断周波数 を遮断周波数またはカットオフ周波数 といいます。

正弦波入力の微分回路の動作

微分回路正弦波入力

図6

図4の微分回路に正弦波を入力したらどうなるでしょうか?。

前項のカットオフ周波数を境目にしてカットオフ周波数より高い周波数では Rf ⁄ Rsのゲインで出力し、 カットオフ周波数より低い周波数では減衰します。

その度合いは周波数の低いほうにむかって-6db/oct(-20db/dec)で減衰します。

図4の微分回路は別名「1次ハイパスフィルタ」とも呼ばれ、オペアンプ回路では頻繁に使われます。

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