左図は一般的な加算回路の原理図です。
反転型加算回路と呼びます。加算回路は2つ以上の信号の電圧を加算した結果を出力します。
直流回路での加算回路は
オペアンプのオフセット調整やレベルシフトに、交流回路では波形の変形、変調回路などに使われます。
この回路の入力と出力の関係は次のようになります。

----式1
図1の加算回路でR1=R2=・・・・・=Rfならば出力Voutは
Vout=-(V1+V2+・・・Vn) ----式2
加算回路は極性の同じ信号を入力すれば出力は入力電圧の加算した電圧を出力しますが、極性の違う信号を入力すれば減算器(引算器)として
動作します。図2はその一例です。

図2
図2の回路は+2Vの信号をゲイン1の反転増幅器を通して極性を反転させて加算回路に入力しています。この回路の出力は下記のようになります。
Vout=-(1V+(-2V))=+1V ----式3
交流の加算回路
直流の加算回路では電圧の加減算の結果を得るだけで面白くもありませんが交流の加算回路は波形の変形や、入力周波数とは違う周波数を作り出したりなど
いろいろ面白い応用ができます。

図3
交流の加算回路は図3のようになります。C1、R1とC2、R2はハイパスフィルタです。ハイパスフィルタに関しては微分回路
を参照してください。
一般的にはフィルタのカットオフ周波数は通過させたい周波数の1/10以下に設定します(ハイパスフィルタの場合)。入力信号V1とV2の周波数の低いほうを基準にして
カットオフ周波数を決めます。カットオフ周波数は
ですから
逆算してRS、CSを決めます。そしてRS=R1=R2、CS=C1=C2、回路のゲインを1にしたい場合はRS
=Rfにします。交流の加算回路では周波数が同じ場合は直流の加算と全く同じで、ピーク電圧が±1Vの交流信号とピーク電圧±0.5Vの交流信号を
加算回路に入力すればピーク電圧±1.5Vの交流信号の出力が得られます。
次の3つの例はいろいろな交流信号を図3の交流加算回路に入力した結果の出力です。面白い波形が得られています。
図4
V1: 0.3V 1khz、V2: 1V 300hzを
加算した加算回路の出力
図5
V1:0.3V 10khz、V2:1V 300hzを
加算した加算回路の出力
図6
V1:1V 10khz、V2:1V 9.7Khzを
した加算回路の出力
これらの歪んだ波形がいったいなんの役に立つか?考えてみてください。一般にはシンセサイザー等の音源に利用されています。