LEDを安全に点灯させるには許容電流以下で駆動する必要があります。電流を制限するには抵抗
による方法がポピュラーな方法です。抵抗による方法は電源変動やLEDのVFの違いによって明るさが変化するなどの欠点がありますが抵抗1本で出来ることから広く利用されています。
このページでは抵抗を使ってLEDの電流を制限する場合の抵抗値の決め方、及び注意点などについて説明します。
LED(発光ダイオード)の仕様を確認
抵抗値を決める前にLEDの仕様を確認しておきましょう。
データシートから確認する項目は次の2点です。
順電圧 VF
LEDもダイオードの一種です。順方向電圧が存在します。
発光ダイオードのVFはこれ以上の電圧を印加しないと発光しないという電圧でもあります。豆電球の定格電圧とはまったく違います。
最大順電流 IF MAX
LEDに流せる最大電流です。
この電流値を超えるとLEDは物理的に破壊します。
抵抗値の計算
図1と図2からスタンレーのPR5304Sをドライブするときの抵抗の抵抗値を決める例で説明します。
PR5304Sの主な仕様
- 許容損失 75mW
- 順電流 IF 30mA
- 順電圧 VF 2.1(TYP)~2.5V(MAX)
- LEDに流す電流を決めます。
推奨値がある場合はそれを採用します。ない場合は自分で決めますが
ディレーティングしてLEDの最大順電流の60%~70%以下を目安に決めます。
およそ5mA程度も流せば充分な明るさが得られます。赤色LEDは数mAでも識別できます。
- 電流値を決めたら次の公式で抵抗値を計算します。
R=(電源電圧 - LEDの順電圧)/LEDに流す電流
LEDの順電圧は平均値(TYP)で表示されている場合がほとんどですが古いデータシートなどでは下限値と上限値で
表示されている場合があります。その場合は上限値と下限値の中央の値を採用します。
R=(5V-2.1V)/5mA=580Ω
580Ωという抵抗は規格にはないので510Ωまたは560Ωを選択します。
- これまで述べたのは電源電圧が安定化電源の場合です。もし電源電圧にリップルがのっているような非安定化電源の場合は
リップル電圧のピーク値を電源電圧の値として上記の式で計算します。
- 図2はLED(発光ダイオード)を5個を抵抗でドライブする場合の例です。計算式は下記の様になりますが
R=(電源電圧 - (LEDの順電圧×LEDの個数))/LEDに流す電流
- いずれの場合でも電源電圧はLEDの最大順電圧 VF(max)又はVF(max)の合計値より高くなければなりません。
- 抵抗の消費電力も計算しておきます。抵抗の消費電力は W=I2R で計算できます。
LEDの電流制限抵抗の計算