トランジスタの使い方

トランジスタのサンプル写真

トランジスタ使い方と言っても多種多様に有り、それだけで一冊の本ができあがってしまいます。このページではそんなややこしいことよりもまず動かしてみたい、使ってみたいという方のために回路例をあげて説明していきたいと思います。誤解なさらないでいただきたいのはこれはホンに一例で、トランジスタの使い方の入り口に立ったようなものです。このページで感触をつかみ、より高度な専門書で学習されることを望みます。

電子回路はIC(集積回路)だけで製作するにはむりがあります。最終的に出力するときには大きな電圧や電流が必要になります。そんなとき、どうしてもトランジスタの力を借りなければなりません。

トランジスタの使い方で比較的、説明しやすいのが直流回路でのトランジスタの使い方でしょう。リレーを動作させたりパルスの電力増幅などON-OFF的な使い方です。

最近はオーディオのアンプもデジタル化が進み、トランジスタもハイパワーなアナログ増幅回路には使われない傾向にあるようです。

トランジスタで直流リレーを動かす

トランジスタの使い方

右の図はトランジスタの使い方でよく見る定番ともいえる、トランジスタでリレーを動作させる回路です。

この回路は1.5Vの電池で12Vのリレーを動作させ、リレーの接点でAC100VをON-OFFしようというものです。いわば1.5Vの乾電池でAC100Vを制御する回路です。

この回路の設計例でトランジスタの使い方を説明しましょう。

回路の設計例

1:負荷になるリレーの仕様を確認しましょう。

型式:MY2
駆動電圧:DC12V
駆動電流:72.7mA

2:トランジスタの選定

トランジスタの選定基準はコレクタ・エミッタ間の電圧、コレクタ電流、コレクタ損失から決めます

コレクタ・エミッタ間の電圧は?

リレーの駆動電圧が12Vですからこれより高い電圧を選定します。回路例では安全をみて2倍以上のものを選択してます。

コレクタ電流は?

リレーの駆動電流が72.7mAですからこれより多く流せるものを選定します。同様に2倍以上のものを選択します。

コレクタ損失は?

トランジスタのコレクタ損失は、コレクタ電流×コレクタ・エミッタ間電圧(図のVCE)で決まります。トランジスタをON-OFF動作する使い方の場合は トランジスタを飽和状態(ベース電流を増やしてもコレクタ電流が増えない状態)で使うのが一般的ですからコレクタ・エミッタ間電圧はトランジスタのデータ シートに掲載されているコレクタ・エミッタ間飽和電圧(VCE(sat))を採用します。

コレクタ・エミッタ間飽和電圧はトランジスタのデータシートを見ないと判りませんから上の二つの条件からとりあえずトランジスタを選択し、計算したコレクタ損失が そのトランジスタの絶対最大定格のコレクタ損失を超えないようにしなければいけません。実際には最大定格の半分くらいが理想です。

2:ベースに流す電流を計算する

トランジスタの特徴は小さなベース電流で大きなコレクタ電流を制御できることです。ベース電流に対するコレクタ電流の割合を示すのを 直流電流増幅率(hFE)といいます。たとえばhFEが50のトランジスタがあったとします。このトランジスタにベース電流を 1mA流したとするとコレクタ電流は50倍の50mA流れることになります。

つまり直流電流増幅率(hFE)とは、コレクタ電流(IC)÷ベース電流(IB)なのです。

では実際にこの回路例でベース電流を計算して見ましょう

図1の例ではトランジスタは2SC1815を採用しています。このトランジスタのhFEはコレクタ電流150mAの場合25~100です。 ここでは低いほうを採用し、

べース電流(IB)=コレクタ電流(IC)÷直流電流増幅率(hFE
 3mA ≒ 72.7mA ÷ 25

ここでもディレーティング(安全率を考慮して値を決めること)して5mAとします。

ベース電流を決める抵抗(R1)の値を決める

トランジスタのベース・エミッタ間は順方向ダイオードの特性と同じです。ですから凡そ0.6V以上の電圧がなければ電流が流れません。 したがって、ベース電流を5mA流すには

R1=(信号源電圧-0.6V)÷ベース電流(IB
 180Ω=(1.5V-0.6V)÷5mA

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